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12/15 「起業工学」は工学とマネジメントの間に位置する学際領域を扱う学問  富沢 治

1999年高知工科大学大学院起業家コースの設立時以来加納先生によって提唱された「起業工学」の概念が高知工科大学での教育・研究、映像情報メディア学会アントレプレナー・エンジニアリング研究会での活動を通じて普及し、高知工科大学以外の大学の講義にも拡がるほか映像情報メディア工学大事典にまで掲載され、起業工学と冠した単行本も多数出版されるようになったのも加納先生の粘り強い活動の成果だと思います。

「起業工学」そのものは工学とマネジメントの間に位置する学際領域を扱う学問です。米国の学界でも純粋の工学ディシプリンからマネジメント領域に裾野を拡げることの重要性は古くから認識されていました。ただ一方、本質的に学問領域横断型であるため “discipline-oriented” な研究者から懐疑的に見られることも多々あったようです。学際領域の学問の意義を非常に極端な「半田のアナロジー」で見ると次のようになりそうです。半田付けに使われる金属材料の半田は融点が低いほど価値があるとみなされます。鉛の融点が328度、錫の融点が232度、この2つの合金である半田は純粋の鉛、錫よりも低い183度という融点、すなわちより高い価値を持ちます。このように工学とマネジメントそれぞれのディシプリンを繋ぎ、統合する「起業工学」の概念は社会により有益な価値をもたらすものと信じています。このホームページが起業工学のより一層の進展のための1つのプラットフォームになることを期待しています。

冨澤 治